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セミナー

第66回  
日時: 2018年7月12日(木) 14:40-16:10
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 金 尚宏(東京大学大学院・理学系研究科生物科学専攻・特任助教)
司会: 仲村 厚志 助教
題目: 生物時計のサイエンス:時計遺伝子の働きから睡眠障害の理解まで
概要: 私達の睡眠・覚醒リズムは約一日の生物時計 (概日時計) によって生み出されており、その基本的なメカニズムを担う時計遺伝子の発見は、2017年のノーベル医学生理学賞の対象となりました。本分野は遺伝子と行動の因果関係が明瞭な神経科学領域であり、現状は社会応用への期待が高まっている研究フェーズです。私達はこれまで、概日時計の周期や振幅、時刻を制御する種々の化合物を見出し、時計の分子メカニズムを解明してきました。加えて本セミナーでは、非24時間睡眠覚醒症候群を紹介します。本患者は、日毎に約一時間づつ睡眠覚醒サイクルが遅れていきますが、この病態に酷似した表現型を示す動物がヒト以外に一種のみ知られています。私達は、カリフォルニアマウス (Peromyscus californicus, 一夫一妻性げっ歯類) の日本初のクローズドコロニーを樹立し、睡眠障害変異体Free runnerの解析を進めているところです。      参考文献:(1) de Groot & Rusak. Neurosci Lett. 327, 203-7 (2002).  (2) Kon et al. Nat Cell Biol. 10, 1463-9 (2008).  (3) Kon et al. Genes Dev. 28, 1101-10 (2014).
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第65回  
日時: 2018年6月22日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 佐藤俊治(電気通信大学・大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻・准教授)
司会: 横井浩史 教授
題目: 中低次の視覚計算論と錯視
概要: 私は大学4年生時(23年前)には視覚や脳には興味がなく,コンピュータビジョン,特に文字認識装置に興味がありました.実際,文字認識の研究を始めたのですが当時はそして現在も認識率は100%に到達していません.そもそも100%とは何か?一つは「ヒトの視覚系による情報処理結果と整合するか否か」が基準になるでしょう.したがって,「ヒトの視覚情報処理の性質や仕組みが分かれば目的が達成されるだろう.」との思いから,視覚研究を始めました.しかしながら,視覚情報処理は非常に複雑であるため,文字認識に代表される高次視覚情報処理の記述や理解は進んでいません.本発表では私と指導学生が取り組んできた,中低次の視覚計算理論や数理モデルについて紹介します.また,ヒト視覚系とコンピュータビジョンの差である錯視やその数理モデルについても紹介します.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第64回  
日時: 2018年5月18日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 平野 誉(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 基盤理工学専攻・教授)
司会: 丹羽治樹 特任教授
題目: ホタルの光の化学:基礎と応用の最前線
概要: 機能性物質の創製や新学問領域の開拓では、生物に学ぶ方法論は1つの重要なアプローチで、光を生みだす生物発光も科学の発展に大きく貢献してきました。多くの発光生物の光る機能は、ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応と呼ばれる化学反応によって発揮されます。この化学反応は、反応に使われるルシフェリン分子数当りの光子の生成数(量子収率)が高く、様々な色の光を生みだし、点滅のような巧みな反応制御もなされる高機能な反応であり、基礎化学の視点でも魅力的な研究対象です。電通大は生物発光の基礎化学と応用で世界をリードしています。本講演ではホタルの発光を例に、化学研究の歴史から最近の基礎と応用の研究の発展状況を解説し、科学の常識であるホタルの発光の仕組みと利用するための基礎の理解を助けたいと考えています。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第63回  
日時: 2018年4月27日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 橋本賢一(防衛医科大学校 集中治療部・講師)
司会: 孫 光鎬 助教
題目: 心臓突然死に関する低侵襲的な診断・予防について
概要: ガイドラインでは、侵襲的な電気生理学的検査(EPS)が心疾患における致死性不整脈による突然死リスク評価のゴールドスタンダードです。EPSでの心室細動、心室頻拍などの致死性不整脈の誘発が植込み型除細動器(ICD)の手術適応根拠となります。一方、非侵襲的心臓突然死リスク検査項目として心室遅延電位(SAECG)、マイクロボルトT波オルタナンス(TWA)、心拍変動解析(HRV)及び心拍タービュランス(HRT)の有用性が報告されているもののEPSの代用には至っていないのが現状です。近年Holter心電図でも24時間のLP, TWAの評価が可能となり検査精度が高まりつつあります。本講演においては、Holter心電図で計測可能なこれらのSAECG, TWA, HRV及びHRTについてのレビューを行い、より低侵襲な心臓突然死リスク評価の可能性を探ります。一方、従来のICDより低侵襲で合併症を低減することが期待されている完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)・着用型自動除細動器は実臨床での使用が広まっています。これらの新しいデバイスの適応及びup dateな話題について触れます。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第62回  
日時: 2018年3月26日(月) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 北田 亮 (南洋理工大学シンガポール 社会科学部 准教授)
司会: 宮脇陽一 教授
題目: 触覚によるテクスチャに関わる脳内ネットワーク
概要: 私たちは触覚によって素材の特徴を抽出することができます.触覚に関する工学的研究が注目される一方で,触覚による物体知覚に関わるメカニズムについては不明な点が多くあります.私はこれまでに触覚による物体知覚に関わる脳内ネットワークについて,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて調べてきました.本講演では素材知覚に着目し,(1)物体の粗さ知覚や剛性の知覚には島部や二次体性感覚野が関与すること,(2) それに対し素材の意識的な知覚には一次体性感覚野が関与すること,(3)近年触覚への関与が示唆されている視覚野は意識的な素材の知覚には限定的な役割を果たすこと,について紹介し,現在の枠組みの問題点について説明します.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第61回  
日時: 2018年3月19日(月) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 坂本一寛 (東北医科薬科大学医学部神経科学教室 准教授)
司会: 樫森与志喜 教授
題目: 脳高次機能を複雑系創発現象として捉えたい
概要: 実世界では様々な想定外のことが生じ、それらに対し、その場その場で何らかの対応を求められる場合も多い。そのような学習の暇も与えられない状況に、生物は既存の機械よりはるかに高い対応能力を有しますが、その基盤として、複雑系としての脳神経系における創発現象があると演者は考えています。本講演では、そのような観点で取り組んできた脳高次機能の神経生理学的研究を紹介します。具体的には、行動計画を要求する課題を遂行中のサル前頭前野の神経細胞の同期発火、発火ゆらぎ、局所場電位の振動等を概観します。これらに基づき、脳活動の振動・同期の意義、更には、脳科学がこれからの社会に貢献するための方向性について私見を述べます。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第60回  
日時: 2018年3月2日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 川﨑元敬(高知大学 医学部 整形外科・講師)
司会: 小泉憲裕 准教授
題目: 集束超音波を利用した骨関節疾患に伴う慢性痛の治療
概要: 痛みの緩和は、いずれの骨関節疾患においても対処すべき重要な課題です。なかでも、長引く痛みである慢性痛は心身に影響を及ぼし、患者の活動性や生活の質を低下させます。このような痛みに対してさまざまな治療が実施されますが、できるだけ身体的負担が少なく効果的な治療法が理想的です。今回紹介する集束超音波治療は、体表に侵襲を与えることなく、多数の強力超音波を体内で集束させて熱による蛋白変性を利用し標的部位を治療します。これをMR画像の誘導により、安全にピンポイントの疼痛緩和治療が達成できます。この治療効果を生かして、痛みを伴う骨転移、慢性の腰痛や膝痛に対する治療を実施してきましたので、その成果と今後の課題について発表いたします。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第59回  
日時: 2018年1月19日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 瀧山 健(東京農工大学大学院 工学研究院 先端電気電子部門・准教授)
司会: 庄野 逸 教授
題目: 運動学習・運動意思決定における予測表現(Prospective coding in human motor learning and decision making)(講演は日本語)
概要: In our daily life, we make predictions in various situations, e.g., we predict tomorrow’s weather, outcomes of soccer matches, or stock price. In those predictions, our neural system receives some inputs (e.g., sky scene in predicting tomorrow’s weather) and represent future states (e.g., tomorrow’s weather). This representation of future states is referred to as prospective coding (ref. Komura et al., 2001). Here, I demonstrate that the prospective coding plays an essential role in human motor learning and motor decision making.          First, I explain about our computational model of motor learning. Diverse features of motor learning have been reported in numerous studies, but no single theoretical framework concurrently accounts for these features. We propose models for motor learning to explain these features in a unified way by extending a motor primitive framework (ref. Thoroughman & Shadmehr, 2000, Nature). Our model assumes that the recruitment pattern of motor primitives is determined by the predicted movement error of an upcoming movement (prospective error). I demonstrate that this model has a strong explanatory power to reproduce a wide variety of motor-learning-related phenomena that have been separately explained by different computational models.          Second, I explain about motor decision making in a competitive game. Although risk-seeking behavior in human motor decision making has been reported in several studies (e.g., Wu et al., 2009), those studies focused on an experiment with a single subject. In our daily life (especially in music or sports), our decision making (action selection) can be influenced by opponents in competitive games and partners in collaborative games; however, how decision making is affected by others remains unclear. Our experimental results demonstrate that subjects show risk-averse behavior at the onset of a competitive game, in contrast to risk-seeking behavior when they performed the same movement without any opponent. To understand the risk-averse behavior in a competitive game, we propose a computational model. Our computational model suggests that the risk-averse behavior is a result of optimization when our decision making is influenced by the predicted actions and results of ourselves and opponents (prospective outcome).          References: [1] K. Takiyama, M. Hirashima, D. Nozaki, Prospective errors determine motor learning, Nature Communications, 6, 5925: 1-12 (2015), [2] K. Ota, K. Takiyama, Competitive game influences risk-sensitivity in motor decision-making, Program No. 316.2. 2017 Washington, DC: Society for Neuroscience, 2017.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第58回  
日時: 2017年12月15日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 五十嵐 潤 (理化学研究所 情報基盤センター 上級センター研究員)
司会: 山崎 匡 准教授
題目: エクサフロップス級計算機による人間の大脳皮質規模の神経回路シミュレーション
概要: 近年、スーパーコンピュータを用いた脳のシミュレーションが盛んに行われている。しかし、究極の目標である約1000億個の神経細胞と約1000兆個結合を持つ人間の脳の規模の神経回路シミュレーションは、現在の計算機では性能不足のため困難である。そこで、我々は2021年頃に完成する京コンピュータの次の世代のエクサフロップス級(1秒間に10の18乗の浮動小数点演算)の計算機を用いて、大脳皮質、小脳、大脳基底核からなる人間の全脳規模の脳シミュレーションを行い、運動や思考の解明を行うことを目指している。本講演では、私のグループが担当している大脳皮質のシミュレーションに関する取り組みを中心に紹介する。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第57回  
日時: 2017年11月28日(火) 14:00-15:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 幸田和久(聖マリアンナ医科大学 医学部 生理学教室・教授)
司会: 松田信爾 准教授
題目: Cbln1-デルタ2グルタミン酸受容体シグナリングは、いかにシナプス形成・維持とシナプス可塑性を制御しているか?
概要: 脳の様々な部位で発生期から成体に至るまで生じているシナプス形成・維持とその可塑性は、脳がその機能を実現する上で必須の現象である。我々は、運動の協調性や運動学習に重要な役割を果たす、小脳の平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおけるその分子機構について、特にCbln1-デルタ2グルタミン酸受容体(GluD2)シグナリングに焦点を当てて研究を進めてきた。本セミナーでは、GluD2及びCbln1欠損マウスを用いた表現型回復実験を通して明らかになった、平行線維-プルキンエ細胞シナプスの形成・維持と可塑性の特異なメカニズムを紹介するとともに、その普遍的意義について議論したい。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第56回  
日時: 2017年11月14日(火) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: Dmitri B. Papkovsky (Professor, School of Biochemistry and Cell Biology, University College Cork, Cork, Ireland)
司会: 正本 和人 教授
題目: New insights into cell/tissue function and metabolism by means of phosphorescent oxygen sensing probes
概要: Molecular oxygen (O2) has a multitude of important biological roles. It is also a useful marker of cell/tissue function and readout parameter which can report on changes in cell metabolism and bioenergetics, tissue (patho)physiology, responses to drug treatment and other stimuli. Various in vitro, ex-vivo and in vivo cell and tissue models are currently used in biomedical research, however for many of them control of sample oxygenation and cellular O2 levels is inadequate. Phosphorescence based O2 sensing technologies can address these challenges and provide convenient and versatile means for direct, real-time, quantitative monitoring of O2 levels in various compartments of complex biological samples, including in situ monitoring of cellular O2 and high-resolution mapping O2 concentration in 3D. A number of advanced O2 sensing and imaging platforms have been developed in recent years, which operate with solid-state sensors, soluble probes or imaging nanosensors and in conjunction with portable handheld instruments, commercial plate readers and sophisticated live cell imaging platforms.  I will provide examples how these sensor systems can be used in physiological studies with simple 2D cell models, more complex micro-tissue models (multicellular spheroids, heterocellular organoids, cultured tissue slices), live animals, and with common disease models such as hypoxia, cancer, inflammation.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第55回  
日時: 2017年10月25日(水) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 安藤創一(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 知能機械工学専攻/健康・スポーツ科学部会・准教授)
司会: 岡田英孝 教授
題目: 一過性の運動と認知機能
概要:  近年,継続した運動だけではなく,一回の運動であっても認知機能に対して有益な効果がみられることは広く知られるようになりました.そこで今回のセミナーでは,低酸素環境下など様々な条件下での一過性の運動がヒトの認知機能に及ぼす影響に関して,我々のデータを中心に紹介します.さらに,一過性の運動による脳血流の変化が認知機能にどのような影響を及ぼすのかについて検討した研究についても紹介します.最後に,なぜ一過性の運動が認知機能を向上させるのかについて議論したい.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第54回  
日時: 2017年8月4日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 深井朋樹(理化学研究所 脳科学総合研究センター脳回路機能理論研究チーム・リーダー)
司会: 田中 繁 特任教授
題目: 外界をモデル化する脳の回路メカニズム ―海馬と大脳皮質
概要:  脳はどのようにして外界の特徴を捉え、モデル化しているのであろうか。その神経メカニズムはどのようなものなのであろうか。この問題は脳が外界からの入力情報をどのように学習しているのかということと密接に関係している。そこで脳が外界をモデル化する仕組みについて、私の研究室が取り組んでいる二つの問題を紹介しながら考えたい。はじめに海馬の場所記憶の形成について、プリプレイの概念について説明し、我々のモデル化の試みとそれにより明らかになった計算論的利点について紹介する。空間探索中のマウスやラットの海馬では時系列学習が起こり、これらの時系列は従来、学習によって生じるものと考えられてきたが、プリプレイが主張するのは、時系列記憶の「種」は、もともと神経回路構造(自発発火)に備わっており、学習によって新たに生成する必要はないというものである。プリプレイによる記憶を実現する2コンパートメント・ニューロンの回路モデルを構築し、素早い記憶形成(ワン・ショット記憶)において樹状突起が重要な役割を果たすことを示す。次に時系列入力から繰り返し出現する「チャンク構造」を検出するための神経回路モデルを紹介する。このモデルは教師付き学習であるリザーバ計算を拡張して時系列の教師なし学習を実現したもので、ランダムな時系列に埋め込まれた複数の規則的配列を読み出すことが可能になる。モデルの回路構成には人工的な匂いが残るが、大脳皮質と大脳基底核ループによる時系列学習の機能を一部実現していると考えている。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第53回  
日時: 2017年7月20日(木) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館301会議室
講師: 曹 其新(CAO Qixin)(上海交通大学 機械と動力工程学院・教授,BLSC客員教授)
司会: 姜 銀来(JIANG Yinlai) 准教授
題目: 外科手術におけるロボット技術応用の現状と動向
概要: 中国のロボット販売台数は4年連続で世界No. 1となっている。その中でも、外科手術ロボットは、産業用ロボットに続いて将来第2位の売上規模になると予想されている。外科手術ロボットは、統合医学、ロボット工学、材料科学、機械工学、コンピュータおよび情報技術をインテグレーション(総合)する必要がある複雑なロボットシステムである。この高度な技術の応用は、伝統的な外科技術に大きな変化と効果をもたらしている。本講演では、外科手術の動向を紹介した上で整形外科手術、インターベンション手術、低侵襲内視鏡手術の3つの側面からロボット手術の研究状況を紹介する。医療ロボット開発の分野では,外科手術ロボットのダヴィンチと比べて、過大な外科手術スペースが要求されず、外傷が少なく、手術後の回復が速い単孔式外科手術ロボットが、次世代の手術ロボットプラットフォームとして期待されている。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第52回  
日時: 2017年6月13日(火) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 細谷 晴夫(国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 脳情報通信総合研究所 動的脳イメージング研究室・主任研究員)
司会: 宮脇 陽一 教授
題目: 高次視覚野の顔ニューロンの反応特性を説明する混合スパース符号化モデル
概要: 視覚系の計算論には、機械学習の枠組みを用いながら、自然視覚刺激と視覚ニューロンの符号化方式との関係を読み解いていく理論アプローチがあります。例えば、OlshausenとFieldの研究 (1996) では、自然画像パッチ刺激が少数のニューロン活動で符号化されるという「スパース符号化」と言う学習理論によって、V1(primary visual cortex, or visual area 1:1次視覚野)の特性が説明できることが知られています。しかし、この流儀の研究で、高次視覚野の符号化方式を明らかにしたものはまだ少ないです。本講演では、新たに「混合スパース符号化モデル」という理論を導入し、このモデルによって、マカクザルIT野(inferotemporal cortex:下側頭皮質)のface middle patchと呼ばれる顔領野における反応特性が数多く再現できることを示します。また、このモデルを用いながら、パーツベース表現とホリスティック表現が一つのシステムの中でどのように共存しうるかも、議論します。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第51回  
日時: 2017年6月9日(金) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 川口 拓之(産業技術総合研究所 人間情報研究部門 脳機能計測研究グループ・主任研究員)
司会: 正本 和人 教授
題目: 生活環境での脳機能モニタリングのためのfNIRSの要素技術開発〜ニューロリハビリテーションの社会実装に向けて〜
概要: 機能的近赤外分光法(fNIRS)は可搬性の高さや拘束性の低さから生活環境における脳機能モニタリングに適しています。一方、ノイズの影響が大きいことや計測が不安定であることが技術的課題として残されています。本セミナーではこれらfNIRSにおける課題の克服に向けて開発している要素技術を紹介します。また、ニューロリハビリテーションの社会実装を加速するために脳損傷後の運動機能の回復過程をサルモデルで解析しており、fNIRSを脳機能評価に応用しています。fNIRSをサルに適用した際の技術開発や損傷モデルでの計測から得られた知見も紹介します。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第50回  
日時: 2017年5月23日(火) 15:00-16:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 原田 竜彦(国際医療福祉大学 熱海病院耳鼻咽喉科・教授)
司会: 小池 卓二 教授
題目: 耳音響放射-基礎から臨床応用まで-
概要: 蝸牛で発生した振動が外耳道内で検出される音響現象である「耳音響放射」について、その測定方法の実際から、これまでに知られている耳音響放射が検出された動物種とそれを踏まえた聴覚進化に関する知見、耳音響放射が発生するメカニズムに関する理論、そして臨床検査としての活用状況について網羅的に概説します。さらに、これらを踏まえて耳音響放射を含めた音響測定を用いた聴覚機能評価の今後について、最近の研究動向を踏まえ自身の見解を述べます。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第49回
日時: 2017年4月19日(水) 13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 西島 壮 (首都大学東京 人間健康科学研究科ヘルスプロモーションサイエンス学域 スポーツ神経科学研究室・准教授)
司会: 狩野 豊 教授
題目: 身体活動と脳機能の相互連関
概要: この20年間で、数多くの研究が運動により脳機能が向上することを明らかにしてきました。一方、我々人類が直面している健康問題の多くは身体活動量が不十分であること(不活動、physical inactivity)に起因しており、事実、不活動は生活習慣病だけでなく精神疾患(アルツハイマー病、うつ病、など)の危険因子にもなります。ところが、実験動物の身体活動に着目した研究はこれまでほとんど行われておらず、不活動が脳機能にどのような弊害をもたらすかも明らかにされておりません。そこで本セミナーでは、そもそも運動と身体活動の違いについて理解を深め、1)身体活動量の減少が脳機能に及ぼす弊害、2)体内埋込型活動量計を用いた実験動物における身体活動研究の新展開、について紹介します。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第48回 Industry-UCB-UEC Workshop 2017 (IUUWS 2017)と共催
日時: 2017年3月27日(月) 14:30-15:30
場所: 電気通信大学 東3号館301会議室
講師: Dr. Gerard Marriott (Department of Bioengineering, University of California-Berkeley, Professor)

牧 昌次郎 助教 (電気通信大学 基盤理工学専攻)

題目: [Dr. Gerard Marriott] Engineering platelets and optical probes for applications in translational medicine

[牧 昌次郎] Chemistry of firefly bioluminescence

概要 [Dr. Gerard Marriott: Abstract] I will introduce recent work from my laboratory in two emerging areas of bioengineering. In the first part of my talk, I will discuss our approach to repurposing human platelets as living vehicles for in vivo imaging and targeted delivery of cytotoxins and immuno-therapeutics to cancer cells. In particular, I will elaborate on the chemistry detailed in Dai et al. to repurpose human platelets as tumour-targeted vehicles that involve mild surface modification of platelet membrane proteins using Traut’s reagent, and the subsequent coupling of platelets to maleimide conjugates of antibodies and other tumour targeting proteins directed against tumour biomarkers. Engineered platelets and nanoplatelets bind to tumours in the brains of mouse models of human cancer. I will also show how tumour-targeted platelets loaded with NIR-fluorophores, nanoparticles and MRI contrast agents can generate high contrast images of early-stage tumours in the brains of living mice. In the second part of my talk, I will introduce new classes of optical switch probes and optoresponsive biomaterials that have applications in high-contrast imaging and optical control of target proteins in the microenvironments of tumour cells.

[Dr. Shojiro Maki: Abstract] Firefly bioluminescence is produced by chemical reactions (luciferin-luciferase reaction) in the bodies of insects. Firefly bioluminescence finds many applications including in research in the life sciences, reporter assays, bioluminescence in vivo imaging. Research on oncology and regenerative medicine requires NIR (near infrared ray) probes. Although Amino luciferin (ca. 610 nm) and Tripluc® (ca. 630 nm) are commercially available, they do not cover the optical window region of 650-1000 nm: NIR. In an innovative approach, we synthesized AkaLumine® and TokeOni® having lmax 675nm by analyzing data on structure and activity relationships. Whereas AkaLumine is the only commercially available luminescence probe with an optical window region, it has low water solubility (0.2 mg/ml). So the AkaLumine requires improvement. To resolve the problem of water solubility we succeeded in synthesizing next generation in vivo bioluminescence probe “TokeOni” with improved water solubility of 100 to 200 folds compared with AkaLumine. Furthermore, we observed a 10 fold higher luminescence than the AkaLumine during vivo imaging on mice. Although “TokeOni” is an excellent material, it has strong acidity (pH = 2), that causes problems in some animal experiment research. So we synthesized a new material “SeMpai” that has NIR activity under neutral buffer conditions. “SeMpai” will put on the international market soon.

問合せ 学生課国際企画係  tel: 042-443-5112, e-mail: kokusai-k@office.uec.ac.jp
第47回
日時: 2017年3月9日(木)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 多賀厳太郎(東京大学 大学院教育学研究科・教授)
司会: 山田幸生 特任教授
題目: fNIRSにおけるhPodを用いた脳の発達研究
概要: 脳組織中の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)の濃度は、自発的な神経活動、脳血管の活動、血流変動、酸素代謝等の相互作用を通じて変動しています。機能的近赤外分光法(fNIRS)により計測されるoxy-Hbとdeoxy-Hbの相対濃度の位相差を、hPod(hemoglobin Phase of oxygenation and deoxygenation)と呼び、この指標が新生児から乳児にかけての脳の発達を鋭敏に表すことを示します。また、そのメカニズムに関するモデルを紹介します。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第46回
日時: 2017年2月23日(木)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 孫 光鎬(Sun Guanghao)(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻・助教)
司会: 小泉憲裕 准教授
題目: マイクロ波レーダーなどの生体センサを用いた非接触バイタルサイン計測技術による医用機器の実用化研究開発
概要: 人体に触れずにバイタルサインを計測する技術の研究がにわかに活発になっている.例えば,レーダーを用いることにより,体表面上に生ずる呼吸と心拍に伴う微細な動きを捉える.このような非接触バイタルサイン計測の利点は,患者への負担が極力少なく,しかも無拘束・無意識などが挙げられる.本技術を活用し,「社会安全システム(感染症)」,「在宅ヘルスケア」,「動物健康モニタリング」分野に焦点を当て,革新的な医用機器の実用化研究・開発について紹介する.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第45回
日時: 2017年1月27日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 朱 笑笑(Zhu Xiaoxiao)(電気通信大学 グローバルアライアンスラボ推進室 特任助教,上海交通大学 ロボッティクス研究所博士研究員)
司会: 横井浩史 教授
題目: ROS based Control of a 7-DoF Robot Arm for BMI(Brain-Machine-Interface用のROSを用いた7自由度ロボットアームの制御)
概要: How to build a robot control system with robustness, scalability, intelligence…? How to start playing with a robot if you are not an expert of robotics but do have some good ideas?In this report, the Robot Operating System (ROS) is introduced, which is a good answer to these questions. ROS is an open-source, meta-operating system that provides the services required for operating a robot system, including hardware abstraction, low-level device control, implementation of commonly-used functionality, message-passing between processes, and package management.

After the introduction of ROS, an intelligent 7-DoF robot arm system is then discussed in detail. This robot arm is designed for a Brain Machine Interface (BMI) system. Thanks to the coupled tendon-driven mechanism, the arm is 0.8m long and weighs 2.5kg, but can lift a 1kg object at a speed of 1m/s. Besides that, the robot has a RGB-D sensor for computer vision task and four multi-point proximity sensors for obstacle avoiding. Several ROS modules of hardware driver, controller, object recognition and arm path planning are developed for constructing the control system of the robot. The robot arm controlled by ROS can naturally simulate the movement of a human arm, which is desired by BMI applications that execute human motion intention decoded from brain signals with robots. The strategies to integrate the robot arm system with the BMI system will also be discussed.

ロバスト性,拡張性,知能などを持つロボット制御システムをどうやって作るのか.専門家ではないが良いアイディアを持っているのでロボット作りを始めたいがどうすれば良いのか.これらの質問に対する回答はROS (Robot Operating System)を導入することです.ROSは,オープンで優れたオペレーティングシステムであり,ハードウェアの抽象化,下層のデバイス制御,よく使われる機能の実装,プロセス間の通信,パッケージの管理など,ロボットの運転に必要なサービスを提供します.

本講演では,ROSを用いた7自由度で賢いロボットアームについて詳細に報告します.このロボットアームは,BMI(Brain Machine Interface)用に開発されています.ワイヤ干渉駆動機構を利用することにより,腕の長さが0.8 mで自重が2.5 kgと小型・軽量でありながら,1 kgの物体を速度1 m/sで持ち上げることができます.さらに,画像認識のためのRGB-Dセンサと障害物回避のための近接覚センサを備えています.ハードウェアのドライバー,コントローラ,物体認識,およびアームの運動経路計画はROSで実現されています.BMIへの応用では,脳の信号から解読された人間の意図に従って運動を実現することが要求されますが,このロボットアームはその要求に応え,人間の腕の自然な動きを実現することが可能です.ロボットアームとBMIシステムとを統合するための戦略についても本講演で論じます.

参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第44回
日時: 2016年12月21日(水)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 小泉憲裕(電気通信大学情報理工学研究科 知能機械工学専攻 准教授)
司会: 山田幸生 特任教授
題目: 医デジ化による超高精度な超音波診断・治療ロボットの開発
概要: ITおよびロボット技術を利用して人間の熟練した技能を再構築する、言わば“技能の技術化・デジタル化”がテクノロジーの発達とともに可能になりつつあります。高度な技能を要求される医療分野においても、医療技能のデジタル化(医デジ化)により、熟練した専門医のように人体に対して安全・安心に動作する高精度な診断・治療を実現することが期待されています。本講演では、超音波医療診断・治療を対象に、医デジ化の手法について考えます。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第43回
日時: 2016年11月29日(火)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 中村清彦(東京工業大学情報理工学院 教授)
司会: 樫森与志喜 教授
題目: 情報を求める脳内神経機構
概要: 人が外界を探索する時、より多くの情報を得ようと行動します。このような行動はactive learningとしてモデル化されます。先行研究から、Shannon情報量に基づいて探索行動を選択することで効率の良い探索が可能になる学習課題が多数存在することが報告されています。このことは人や動物が効率的な探索行動をとる時にもShannon情報量に基づいて探索行動を選択している可能性を示唆します。本研究では、active learning 課題を遂行中のサルの脳から神経活動を記録して得た結果を報告します。結果:(1)サルは複数の選択肢から最大のShannon情報量を与える選択肢を選んだ。(2)この選択行動中のサルの運動前野背側部には選択肢のShannon情報量と相関する神経活動があった。これらの結果は運動前野背側部がactive learningにおけるShannon情報量に基づく行動選択に関与していることを示唆します。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第42回
日時: 2016年10月26日(水)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館301会議室
講師: 坂無英徳(産業技術総合研究所 人工知能研究センター 主任研究員)
司会: 庄野 逸 教授
題目: 画像認識技術による医療診断支援
概要: 近年、医療機器の高性能化やITの発展により、高品位の検査データを容易に取得できるようになりました。しかし、このまま医療データが増大し続けると、医療従事者に過大な業務負担を課すばかりか、人間だけでは分析しきれなくなり医療の質の向上に結びつかなくなると危惧されます。そこで我々は、独自の画像解析手法に基づく人工知能技術を用いて、蓄積された診断済みの画像データに基づいて学習し、異常検出や類似画像検索を行う事で診断を支援する技術を開発しました。本講演では、幾つかの研究事例についてご紹介します。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第41回
日時: 2016年9月9日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 柚崎通介(慶應大学医学部・教授)
司会: 松田信爾 准教授
題目: Bridge Over Troubled Synapses—シナプスに架ける橋
概要: 私たちの脳では、無数の神経細胞がシナプスを介して互いに結合し、神経ネットワークを形成しています。シナプスは神経活動の変化に応じて選択的に強化・減弱され、あるいは新たに形成・除去されます。このようなシナプス改変過程が記憶・学習の基盤であるのみでなく、さまざまな精神疾患にみられる脳領域間の接続状態の変化に密接に関与すると考えられています。シナプス前部とシナプス後部の間には約20 nmの間隙が存在しますが、これは単なる「隙間」ではなく、シナプス前部と後部を繋ぐタンパク質(シナプス形成分子)が豊富に存在します。これらのシナプス形成分子の制御機構の解明こそがシナプス改変過程を理解する鍵を握ると考えられます。本講演では補体ファミリー分子群を中心に最近の話題についてご紹介します。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第40回
日時: 2016年7月27日(水)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 小金丸聡子(京都大学 高次脳機能総合研究センター・博士研究員)
司会: 山崎 匡 助教
題目: 経頭蓋律動性脳刺激による脳活動変化とヒト歩行の変容
概要: 律動性脳活動は多様な神経ネットワークダイナミクスから生じ、脳のあらゆる部位で認められます。この脳活動は、ヒトの行動や認知機能の神経基盤であるとされますが、一方で律動性脳活動と律動性運動(周期的に繰り返される運動)の関係についてはこれまで詳細に検討されていませんでした。我々の最も基本的な律動性運動は歩行です。動物の4足歩行は、脊髄のリズム生成機構や筋・骨格の物理的因子が主体と考えられていますが、ヒト二足歩行では、歩行の中枢化が進んでいるとされています。近年、歩行周期依存性に律動性脳活動が変化することが報告され、ヒト歩行においてより高次中枢の関与が示唆されています。ヒトの頭蓋上から電流強度を周期的に変動させて与える、経頭蓋交流電流刺激(transcranial alternating current stimulation, tACS)や経頭蓋律動性直流電流刺激(oscillatory transcranial direct current stimulation, otDCS)は、律動性脳活動を変化させる事が分かっています。それらは、神経細胞の発火頻度や発火タイミングを律動性に変化させ、内因性律動に近い刺激周波数であれば、律動性活動を刺激周波数に同期させる引き込みが生じます。私たちは歩行中のヒト脳に歩行周期に近似した周波数で経頭蓋律動性電流刺激を与え、歩行律動の制御を可能にしました。本セミナーでは、経頭蓋律動性電流刺激と律動性運動の制御メカニズム、中枢神経疾患リハビリテーション訓練への応用可能性等について、私たちの知見をもとに発表します。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第39回
日時: 2016年6月21日(火)16:15-17:45
場所: 電気通信大学 東4号館802会議室
講師: 荒牧 勇(中京大学大学院体育学研究科・教授)
司会: 宮脇陽一 准教授
題目: スポーツとvoxel-based morphometry (VBM)
概要: MRIの脳解剖画像から脳の局所的な灰白質容積を計算するvoxel-based morphometry (VBM)という手法があります。近年、このVBMを使って、特定脳部位の局所的な灰白質容積と個人のもつ性格やスキル、あるいは学習過程などとの関連が研究されています。さて、スポーツと一言にいっても、競技によって向いている性格、必要な運動・認知スキルは様々ですし、実施するトレーニングの内容も違いますから、VBMとの相性はよさそうです。VBMを用いた神経解剖学的なアプローチが、スポーツを支える神経基盤の理解に役立つことを示すために、ここ数年私の研究室で進めているスポーツVBM研究の結果をいくつか紹介します。

1)スプリンターと長距離選手の脳構造の差について

2)試合での実力発揮能を予測する脳構造について

3)トレーニングによる脳の変化について

4)一流選手の脳について

参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yukioyamada@uec.ac.jp
第38回
日時: 2016年5月18日(水)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 長谷和徳(首都大学東京 理工学研究科機械工学専攻・教授)
司会: 岡田英孝 教授
題目: 神経筋骨格モデルによるヒト歩行シミュレーションとその応用
概要: ヒトの歩行運動などの身体運動を再現するコンピュータシミュレーションモデルとその応用例について紹介します.このシミュレーションでは身体筋骨格系の力学特性をモデル化し,順動力学計算によって身体運動を生成します.運動制御系は歩行などのリズム運動発生機序をモデル化した神経振動子,位相振動子,勾配系などの特性を持ちます.シミュレーションモデルの例として,ヒトの二足歩行モデル,走行モデル,高齢者歩行分析,義足歩行などを紹介します.また,歩行以外の応用例として,車両乗員モデルなどについても言及します.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yamada@mce.uec.ac.jp
第37回
日時: 2016年4月15日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 福地 守(富山大学 大学院医学薬学研究部(薬学) 分子神経生物学研究室・助教)
司会: 牧 昌次郎 助教
題目: 脳由来神経栄養因子BDNF遺伝子発現制御機構の解明~脳・神経系の高次機能発現や疾患原因の解明そして創薬研究を目指して~
概要: 神経栄養因子ファミリーの一員であり、記憶や学習に代表される高次脳機能発現に必須の因子である脳由来神経栄養因子(BDNF: Brain-derived neurotrophic factor)は、様々な神経・精神疾患との関連性も深く、これら疾患のバイオマーカーや創薬ターゲットとしても注目されている。我々は、特に神経細胞におけるBDNF遺伝子の発現制御メカニズムに着目した研究を進めている。本セミナーでは、これらの研究成果を紹介しながら、BDNF遺伝子発現制御と脳・神経系の高次機能発現や疾患との関わり、さらには神経・精神疾患の創薬を目指した我々の現在の取り組みも合わせて紹介したい。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel: 042-443-5220,  e-mail: yamada@mce.uec.ac.jp
第36回
日時: 2016年3月24日(木)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 高木岳彦(東海大学 医学部 外科学系整形外科学 講師.本センター客員准教授)
司会: 横井浩史 教授
題目: Nerve-Machine Interfaceと手外科
概要: 先天性の欠損肢や外傷性の切断肢は整容面以外にも文化的な生活を営む上で大きな障害となる。細かい血管縫合等の手術技術を駆使した足の指の移植や手の同種移植を国内でルーチンに適用させるのは困難である現状では、運動と知覚機能を工学系の技術を用いて外部装置に置き換える筋電義手で克服可能と考える。末梢神経が司る上肢の運動と感覚の機能代替を行うこと(Nerve-Machine Interface)に主眼を置き、筋電図と手指運動パターンとの対応関係を個々の事例にあわせ獲得させる義手を開発しているが、さらに個々の事例にあわせ切断肢に残された筋に効果的に神経移行術(Targeted muscle reinnervation)を行うことで、共同研究を行ってきた工学技術と手外科医としての技術を融合させて、より自分の手指のような感覚を感じられるような機能を有する装置を目指している。その現状と今後の展望について紹介したい。
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel. 042-443-5220,  e-mail: yamada@mce.uec.ac.jp
第35回
日時: 2016年3月1日(火)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 神崎亮平(東京大学先端科学技術研究センター 副所長・教授)
司会: 中村 整 教授
題目: 昆虫とロボットの融合で探る脳科学~脳を創り,理解し,活用する~
概要: 昆虫はその微小な寸法という制約の中で,感覚・脳・行動を発達させ,さまざまな環境下で適応的な機能を進化させてきた.このような昆虫が獲得した感覚・脳・行動の機能や機構の解明は,生物学的に重要なだけではなく,工学設計においても重要な手本となり,その設計には学ぶべきことが多い.昆虫の嗅覚による適応能力を評価し,その神経機構を解明するための新しいアプローチである「昆虫-ロボット融合システム(サイボーグ昆虫)」の研究や,昆虫脳をスーパーコンピュータ「京」に再現することで理解し,活用する研究を紹介する.また,遺伝子工学技術により昆虫の優れた生体機能を活用した匂いセンサや,昆虫自体をインテリジェントなセンサ(センサ昆虫)に改変する研究にも触れ,昆虫科学が拓く脳科学の世界に迫る.
参加: 参加費無料,予約不要
問合せ 山田幸生,Tel. 042-443-5220,  e-mail: yamada@mce.uec.ac.jp
第34回
日時: 2016年2月26日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 張 定国(上海交通大学 機械工学科・准教授)(Dingguo Zhang, Ph.D, Associate Professor, Institute of Robotics, School of Mechanical Engineering, Shanghai Jiao Tong University, China)
司会: 姜 銀来 特任准教授
題目: Electromyography (EMG) Applications for Rehabilitation and Prosthesis(リハビリと義肢に対する表面筋電図の応用) (英語で講演)
概要: ヒューマン・マシン・インターフェースは,生体信号を使ってロボットハンドや義手のような外部機器を制御する学際的研究分野です.その中で,表面筋電図(EMG)を利用した研究が重要視されています.表面筋電図は,筋収縮に伴う筋繊維の電気活動を皮膚表面に置いた電極で非侵襲に計測された信号で,筋電信号を用いた制御(筋電制御)は切断者や障害者のための義肢とリハビリ装置を制御するのに有効な手段として研究されています.ノイズが混入した表面筋電図と制御指令とを関連づけることは,筋電制御における難題の一つです.本講演は,多機能義肢を高精度で制御する筋電制御アルゴリズムの最新の研究を解説し,また,機能的電気刺激(FES)を用いたリハビリシステムについても紹介します.
第33回
日時: 2016年1月21日(木)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 工藤 佳久(東京薬科大学・名誉教授)
司会: 丹羽 治樹 特任教授
題目: 脳機能発現におけるグリア細胞の役割
概要: 20世紀末までの神経科学研究によって、脳機能はニューロンが織りなす神経回路から産み出されるものと認識されるようになっている。しかし、脳内にはニューロンをはるかに上回る数の多様なグリア細胞が存在することを忘れてはならない。これらのグリア細胞はニューロンと同時代に発見されているが、電気的には不活性であるためか、これらの細胞の中枢神経系における機能は長い間、過小評価されてきた。もちろん、主要なグリア細胞であるアストロサイト、オリゴデンドロサイトそしてミクログリアには脳内環境維持や神経伝達速度促進など多様な機能が認められ、脳機能発現における脇役としてのその存在意義は認識されている。しかし、20世紀後半から細胞内カルシウム濃度研究法や二光子レーザー顕微鏡などの技術の発達によって、グリア細胞の新しい機能が浮き彫りにされてきた。グリア細胞が多様な神経伝達物質受容体を発現し、ニューロンの活動に応答すること、自らも伝達物質を遊離することによってニューロン活動を修飾し、シナプスの再編成に積極的関与することなど高次脳機能発現に直接的に関与する事実が相次いで発見されている。このセミナーではグリア細胞がもつ多様な能力について解説し、それを基にグリア細胞の機能を考慮した“正しい”脳機能研究について討論したい。
第32回
日時: 2015年12月17日(木)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 田中 繁(脳科学ライフサポート研究センター・教授)
司会: 山田 幸生 特任教授
題目: 一次視覚野自己組織化における未解決問題に対する試論
概要: 哺乳類一次視覚野のニューロン応答特性や機能的構築については、1960年代以降膨大な研究蓄積があるが、未だに明確な説明がなされていない実験事実がある。そこで本発表では、従来の理論研究では説明できない実験事実を明らかにするとともに、その問題解決に向けて、最近、私と共同研究者が進めているいくつかの理論研究について紹介したい。
哺乳類一次視覚野のニューロンは、その反応特性から単純型細胞と複雑型細胞の二つのカテゴリーに分類されている。従来、複雑型細胞は方位選択性を示すが、単純型細胞とは異なり、呈示するバー刺激の位置に依存しないことが知られている。この性質を説明するためには、単純型細胞受容野の空間位相をプーリングする必要がある。しかしながら、ヘッブ学習に基づく自己組織化モデルでは、様々な位相を持つ単純型細胞からのシナプス入力が一つのニューロンに収斂せず、位相に応じて棲み分けてしまう。すなわち、単純型細胞からは単純型細胞しか形成されない。そこで、我々は、時定数の長いNMDA受容体サブユニットNR2Bの効果に着目し、時間的なプーリングを利用して複雑型細胞の受容野を再現することに成功した。
ネコ・フェレット・サルでは最適方位がほぼ連続的に表現される方位マップが存在することは知られていたが、最近のイメージング研究によって、マウスやラットに代表されるげっ歯類では、類似の方位に反応するニューロンが隣接せず、いわゆるsalt-and-pepperタイプのランダムな表現を呈することが分かってきた。このsalt-and-pepperタイプの方位表現を再現するために、「げっ歯類の皮質内興奮性結合について、個々のシナプス伝達効率は高いがsparseである」という仮説を検討した。シミュレーションによると、興奮性結合確率が0.1よりも大きい場合には方位マップが形成されるが、0.1よりも小さくなるとげっ歯類の視覚野に見られるようなsalt-and-pepperタイプ表現が再現された。また、磁性研究で用いられるm-成分スピングラス理論を援用して解析的に計算したところ、salt-and-pepperタイプの方位表現は、sparsenessによって引き起こされる、最適方位がランダムに凍結したガラス状態であることが分かった。すなわち、皮質内興奮性結合のsparsenessが、種に依存した方位表現の形成に重要であることが示唆された。
第31回
日時: 2015年10月15日(木)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 羅 志偉 (Zhiwei Luo)(神戸大学 自然科学系先端融合研究環・教授)
司会: 姜 銀来 准教授
題目: 高齢社会を支える人間と接するロボットの研究開発(Development of Human Interactive Robots for Aging Society)
概要: Human interactive robots are highly expected to play important roles in human health, such as social welfare support, training and health promotion, as well as health prediction, prevention and rehabilitation. This talk describes on human’s motor functions, such as balance, walking and running, and cognitive functions change with the increase of age using advanced measurement and computer simulation technologies, such as biofeedback, NIRS and immersion-type interactive dynamic simulation. It will show examples of our robotics researches related to above applications such as an up arms’ rehabilitation robot system, a virtual shopping street to evaluate the elderly people’s high order brain cognitive functions in their everyday life and so on.(発表は日本語)
第30回
日時: 2015年9月11日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 饗庭 絵里子氏(情報システム学研究科 情報メディアシステム学専攻 人間情報学講座・助教)
司会: 小池 卓二 教授
題目: 演奏家とその聴覚
概要: プロ演奏家の演奏技能は,人間の様々な能力を駆使した上で成り立っている。また,それらの能力を獲得するためには,運動のみならず,聴覚などの感覚の鍛錬も非常に重要である。例えば,美しい和音を演奏するためには,複数の音のタイミングを揃える必要がある。一方,ある音だけを際立たせるためには,複数の音の中から際立たせたい音だけを他の音に比べて僅かに先行させるという技術も必要とされる。このように,演奏家は多くの音のタイミングを細かく制御するため,音のオンセットの同時性など,音の時間的情報に常に注意深く耳を傾けている。従って,演奏家は非演奏家に比べて音の時間的なずれの検出能力に長けていたり,さらには脳波(聴性脳幹反応)にも違いがあらわれるなど,生理学的なレベルでの変化も観察されている。本講演では,この他にも日々の鍛錬によって得られる演奏技能に関する研究を,ピアニストとしての自身の体験や研究成果を交えながらご紹介したい。
第29回
日時: 2015年8月25日(火)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: Gowrishankar Ganesh氏(産業技術総合研究所 知能システム研究部門、Intelligent Systems Research Institute, Senior Researcher)
司会: 宮脇 陽一 准教授
題目: Human Centric Robotics: from neuroscience to robot control during human-robot interactions
概要: Whenever two humans physically interact with each other, like during dancing Tango, their movements are determined by complex mechanical and control interplays between the motion and forces generated by each individual. Understanding these interplays are essential for the development of future robots in rehabilitation, biomedical devices and tele-operation systems so as to ensure that the interacting human is comfortable with the interacting robot, feels safe with them and benefits physically and psychologically from them. However, this is not a trivial task because human interactions change not only with individual body dynamics and control but change also with cognition, age and disease. The reason we feel comfortable when interacting with another human is because the other human can understand our behavior in all these aspects and respond accordingly – my research aims to develop similar abilities in future robots. Through integrated research in robotics, bio-mechanics, motor psychophysics, control and social neuroscience, I aim for a comprehensive understanding of human-robot interactions and develop human like interaction abilities in robots. In this talk I will introduce my work and present an example of a human interaction experiment to exhibit how mechanics, engineering, robotics and neuroscience can be combined together to understand human behavioral dynamics and in turn be utilized to develop better design and behavior in robots.
第28回
日時: 2015年7月24日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 高畑 亨氏(Interdisciplinary Institute of Neuroscience and Technology (ZIINT), Zhejiang University, Hangzhou, China)
司会: 田中 繁 教授
題目: 遺伝子発現パターンを指標にした霊長類大脳皮質視覚野の比較解剖学
概要: 大脳皮質は哺乳動物、特に霊長類において急速な進化を遂げ、高次の知能や理性の源となっている。霊長類の大脳皮質はどのように他の哺乳動物と違っており、またそのような違いはどのような分子基盤によって産み出されるものであろうか。ブロードマンによれば、げっ歯類の『大脳皮質領野』の数は20-30なのに対し、霊長類では40-50に及ぶとされ、それぞれ運動の制御や視覚・聴覚の認知など機能分担がされている。私及び所属グループは大脳皮質領野の進化を明らかにするため、それぞれの領野特異的に発現する遺伝子のスクリーニング解析を行った。その結果、一次感覚野、特に一次視覚野と連合野の間に相補的な遺伝子発現のプロファイルがあることを明らかにした。このプロファイルは霊長類に特有で、他の哺乳動物には観察されなかった。この結果は霊長類の大脳皮質領野の分化が分子レベルではっきりと異なることを示している。
そして私は、神経活動依存的な遺伝子c-Fosの発現パターンを観察すると神経活動状態のマップが高解像度で組織学的に観察できることに着目した。私はこの手法を用いて、『眼優位性カラム』という霊長類一次視覚野の機能単位の内部に、さらなる微小な神経回路、『ボーダーストリップ』があることを示すことができた。さらに、今までは一部の食肉類と高等霊長類にしか存在しないと考えられていた眼優位性カラムが実際にはかなり広く種間で保存されていることを示した。霊長類脳と非霊長類脳の本質的な違いはどこにあるのか。これらの新しい観察から、霊長類大脳皮質の進化について考察していく。
第27回
日時: 2015年7月17日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東4号館802会議室
講師: 田嶋 達裕氏(ジュネーブ大学 Lab of Cognitive Computational Neuroscience 博士研究員)
司会: 宮脇陽一 准教授
題目: Untangling complex brain dynamics(複雑な脳のダイナミクスを”解きほぐす”)
概要: The brain is a complex dynamical system. While a variety of innovative large-scale recording technologies are yielding a plethora of biological data at unprecedented spatiotemporal resolution, it may sometimes seem hopeless to derive a reduced, intuitive model from the nonlinear, heterogeneous and high-dimensional dynamics of a large neural population. However, extracting simple structures that govern complex neurophysiological phenomena is still possible by focusing on their deterministic aspects—constraints on the neural signals in the temporal domain. I will present two studies where theoretically-motivated analyses of intrinsic brain dynamics shed light on the underlying neural processing mechanisms.
First, using a nonlinear mapping from neural state to stimulus space, we find flexibly-modulated attractor dynamics during task-switching in monkey visual cortex. This is in contrast to a prevailing view that dynamics outside of sensory cortices solely account for the flexible sensory-action association. The temporal evolution of neural modulation is not explained by static gain-control mechanisms, suggesting an involvement of sensory cortex in recurrent dynamics that underlies the flexible perceptual abilities.
Next, I introduce a more generic method based on dynamical systems theory, which is capable of analyzing large-scale and heterogeneous neural interaction. Applying this method to whole-brain electrocardiography data from behaving monkey reveals a universal relationship between dynamical complexity and area-to-area interaction, which dissociates conscious from unconscious brain states. Remarkably, the method captures state-dependent structures of cross-area interaction that can be missed by conventional correlation-based analysis. These results underscore the importance of intrinsic dynamics in understanding complex neuronal systems.
第26回
日時: 2015年6月26日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 赤松 幹之 氏(産業技術総合研究所 自動車ヒューマンファクター研究センター・首席研究員)
司会: 下条 誠 教授
題目: 自動車運転研究から脳科学に期待すること
概要: 最近は自動運転技術が話題になっている。電子情報技術によって自動運転や運転支援などの機能を実現することが可能になったが、どのような自動車と人間の関わりを実現するかを定めないと、これらの自動車技術をどのような方向に進めていくかは決められない。そのためには、自動車運転の本質を見極める必要がある。
車載情報機器や自動運転・運転支援システムとのヒューマンインタラクションは、人間の高次機能が大きく関わると考えられることから、脳科学の知見に期待が持たれている。この数十年の間に脳科学は大きく進展したが、これは研究者が様々な工夫をして精緻に条件を統制した刺激—反応系を構築してきたゆえの成果であるといえる。この一方で、自動車運転の環境はほぼ開放系であり、その環境は時々刻々変化している。したがって、自動車運転をある決められたタスクを遂行するための受動的な刺激—反応系の情報処理プロセスであるとみなしてしまうと、その本質を見失いかねない。自動車運転は、未知なる環境への能動的な関わりであって、おそらくそれは脳の様々な機能を統合した総体として実現していると思われる。開放系であるにしても、他の交通参加者との接触をさけながら道路を進行させるという制約があることから、研究対象として扱えるものであり、積極的に環境と関わって環境と自己の能力を拡大してく能動的な脳機能の理解のための良い題材である。本講演では、自動車運転をどのようにとらえるべきか、またそのためにはどのような脳研究の課題があるのかを議論したい。
第25回
日時: 2015年5月28日(木)16:30 – 18:00
場所: 電気通信大学 東4号館802会議室
講師: 酒谷 薫氏(日本大学 工学部・次世代工学技術研究センター 医学部・脳神経外科・教授)
司会: 山田 幸生 特任教授
題目: NIRSの臨床応用:現状と未来
概要: NIRSは近赤外光を用いて、脳血流や脳機能を非侵襲的に計測する技術である。NIRSは新生児から高齢者まで測定でき、MRIなどと比較して安価である。このような特徴を生かして、NIRSは小児科、麻酔科、脳神経外科、精神科など幅広い分野で応用されている。特にマルチチャンネルNIRS(光トポグラフィー)は、2014年の診療報酬改定において保険診療が認可された。NIRSはこのような医療機器として開発が進む一方、小型で簡便に使用できるNIRSも開発されている。将来的には一般のユーザも脳機能を手軽に計測する時代が来るかもしれない。本セミナーでは、NIRSの原理とともに臨床応用の現状と未来について解説する。
第24回
日時: 2015年4月28日(火)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 山田 勝也 氏(弘前大学 大学院医学研究科・統合機能生理講座・准教授)
司会: 小林 孝嘉 特任教授
題目: 蛍光L-ブドウ糖 fLG によるがん診断法の開発
概要: ブドウ糖(グルコース)にはD型とL型があり、生物はこのうちD型のみをエネルギー源として選択的に利用するが、その細胞内への取り込み機構には不明の点が多い。近年、生きた細胞のグルコース取り込みを可視化する目的で、蛍光D-グルコース誘導体2-NBDGが広く使用されている(Yamada et al., Nature Protocols 2007)。我々は、2-NBDGの立体選択的な取り込みを正確に知る目的で、そのL型鏡像異性体2-NBDLGを開発したところ、悪性のがん細胞が選択的に取り込み蛍光を発した。そこで2-NBDLG等の蛍光L-グルコース誘導体fLGを用いてがんを診断する技術をJST等の支援を受け開発している。
第23回
日時: 2015年4月24日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 樫森 与志喜 氏(先進理工学専攻・教授)
司会: 丹羽 治樹 特任教授
題目: 感覚情報の階層的処理機構
概要: 視覚、聴覚などの感覚情報は、受容器から中間的な処理段階を経て、高次領域でその認識に至る。受容器でとらえられた膨大な情報は、認識や行動に適した形で、脳の各部位で階層的に表現される。様々な感覚において脳がどのように感覚情報を表現しているかは、まだ不明な点が多い。特に、実験的には脳の各部位で時空間的な活動が多く観測されるが、それがどのような情報を表しているかはよくわかっていない。また、階層間のフィードフォワード情報と同時にフィードバックも認識に重要な役割を持つ。本講演では、神経ネットワークの動的側面と階層間の関係性に注目し、モデリングの立場から、視覚、聴覚、嗅覚の情報の階層的処理について解説する。
第22回
日時: 2015年4月10日(金)13:00-14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 堀田 晴美 氏(東京都健康長寿医療センター 研究所・研究副部長 老化脳神経科学研究チーム 自律神経機能研究室)
司会: 正本和人 准教授
題目: 身体への刺激が脳機能を支えるメカニズム
概要: 皮膚・筋・関節への刺激は、そこに分布する体性感覚受容器を働かせ、感覚を引き起こすだけでなく、脳の機能に広く影響を与える。たとえば、体性感覚刺激は認知症患者の認知機能の改善や脳梗塞後の運動障害の改善に寄与することが示唆されている。しかし、その基礎的なメカニズムはよくわかっていない。そこで我々は、この問題と関連した神経生理学的メカニズムを明らかにする目的で、ラットを用いて皮膚刺激が脳の血流や神経成長因子に及ぼす影響とそのメカニズムを調べた。
Hotta et al. (2014) Non-noxious skin stimulation activates the nucleus basalis of Meynert and promotes NGF secretion in the parietal cortex via nicotinic ACh receptors. J Physiol Sci 64:253-260.
第21回
日時: 2015年2月23日(月) 13:00~14:30
場所: 電気通信大学 東3号館301会議室
講師: 神作 憲司(国立障害者リハビリセンター研究所・脳機能系障害研究部・脳神経科学研究室長)
司会: 横井 浩史 教授
題目: ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)の医療福祉応用に向けて
概要: 脳波を用いた非侵襲ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)技術を研究開発している。これまで、特定の視覚刺激を注視した際に生じる脳信号を利用して、家電の操作やコミュニケーションさらには運動の補助を可能とするシステムを開発した。このシステムに用いる視覚刺激の強調表示の手法として、輝度変化に加えて色変化(緑/青)を用いることで、正答率や使用感を有意に向上させることに成功した。さらに、着脱容易で長時間使用可能な脳波電極等を含め内製のシステムを開発し、これらを用いて実証評価を進めた。こうした研究開発を行っていくことで、麻痺を伴う患者・障害者の活動領域拡張へと貢献することが期待できる。
第20回
日時: 2015年2月16日(月) 16:00~17:00
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: Gregory T. Clement氏(Case Western大学Lerner College of Medicine准教授,本学産学官連携センター・特任准教授)
司会: 鎌倉 友男 教授
題目: Sound Medicine: Some contemporary and prospective uses of acoustics in medicine
概要: Since the inception of medical diagnosis over two thousand years ago, acoustics has played a central role. Even today, however, the full potential of active acoustics and ultrasound in particular remains largely impeded by the strong mismatch in material properties between air, bone, and soft tissues. Likewise, high intensity focused ultrasound (HIFU) used as a therapeutic tool has, until recently, been inhibited by the same barriers. Work of our lab has concentrated on surmounting these mismatches with the goal of providing diagnostic and therapeutic methods through bone and, in the case of imaging, even though air interfaces. This talk will survey the techniques and technologies we are utilizing to achieve this penetration. This includes the design and development of high-power transducers, new propagation and inversion techniques, and the use of model-based aberration correction. The specific applications of transcranial brain therapy, brain imaging, and non-contact medical imaging will be highlighted. Finally, near-field and long-wavelength techniques that open the possibility for medical diagnostics over wider range of the acoustic spectrum will be discussed.(音波、特に超音波は医療診断・治療に現在幅広く利用されています。現状およびこれから期待される医療での超音波の利用や課題等を解説して頂く予定です。)
第19回
日時: 2015年1月30日(金) 13:00~14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 松田 信爾 氏(先進理工学研究科 准教授)
司会: 狩野 豊 教授
題目: シナプス可塑性の分子機構の解明と制御法の開発
概要: 我々の脳は千数百億個の神経細胞からなる複雑な構造体である。1つの神経細胞は他の神経細胞に連絡してシナプスを作っており、このシナプスで神経細胞間の情報伝達が行われている。シナプスにおける情報伝達の効率は神経活動に依存して増減することが知られている。この現象はシナプス可塑性と呼ばれ、記憶・学習の細胞レベルの基盤ではないかと考えられている。シナプス可塑性の代表的なものとして長期増強(LTP)と長期抑圧(LTD)がよく知られているが、これらのシナプス可塑性の分子実態はAMPA型グルタミン酸受容体の細胞表面の数の増減であることが明らかにされて来た。本セミナーではどのようなメカニズムでAMPA受容体の数の増減が起きるのか、そしてその制御法の開発について最新の研究結果を紹介したい。
第18回
日時: 2014年12月19日(金) 13:00~14:30
場所: 電気通信大学 東3号館306会議室
講師: 関 喜一 氏(産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門 身体適応支援工学グループ・主任研究員)
司会: 阪口 豊 教授
題目: 視覚障害者と音
概要: 視覚障害者にとって音は重要な情報源である。本講では、聴覚による空間認知のメカニズム、視覚障害者のための音サイン、音響信号機、及び歩行補助装置の4つについて説明する。
第17回
日時: 2014年11月25日(火)
場所: 電気通信大学 東4号館802室
講師: 兪 文偉(千葉大学・フロンティア医工学センター・教授)
司会: 横井 浩史 教授
題目: 日常生活で使用できる生体機能補助機器を目指して
概要: 本セミナーでは,日常生活環境で,生体機能補助機器を長時間使用していく場合の問題点を理解し,解決するための計測実験,モデリング,及び結果,考察を説明する.具体的には,日常生活で使用する機能的電気刺激(FES)による歩行補助における刺激部位の選定,刺激効果の持続などの諸問題を触れ,それらを解釈するための計測実験とモデリング実験を述べる.さらに,長期利用を想定した義手や上肢リハビリテーションシステムの構築,特に感覚フィードバックとそれによるメンタルワークロードの評価についても概説する.
第16回
日時: 2014年11月13日(木)
場所:
講師: Dr. Andrew Subduhi (Associate Professor, Department of Biology, University of Colorado, Colorado Springs)
司会: 狩野 豊 教授
題目: Acute mountain sickness: mechanisms and prevention(急性高山病:メカニズムと予防)
概要: Dr. Subduhiは,低酸素や脳をテーマとした研究を精力的に行っている.これまでに,低酸素環境下での脳血流や脳の自己調節能,高地順応などに関する数多くの研究論文を発表しており,近年では,Altitude Omics Projectにおいても中心的な役割を果たしている.今回のセミナーでは,急性高山病のメカニズムと予防に関する研究を中心にお話いただく.
第15回
日時: 2014年10月25日(金)
場所:
講師: 牛田多加志 氏(東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター 再生医療工学部門・教授)
司会: 山田幸生 特任教授
題目: 再生医療における3要素+1要素
概要: 再生医療における基盤技術は,いかに細胞を分化コントロールするか,そしていかに組織構築を行うか,これらの2つの目標を実現するものとして開発が進められている.再生医療においては3要素というものが存在する.第一の要素は細胞ソースである.これは再生医療というコンセプトの根幹をなすものであり組織再生の中核をなすものである.2番目としては3次元組織を構築するための培養担体が挙げられる.そして3番目としては細胞増殖因子やサイトカインに代表される生化学因子が挙げられる.一方,4番目の要素として注目を集めつつあるのが,物理刺激因子である.細胞は生体中で様々物理的な刺激を受けており,生化学因子と同様に細胞分化および組織再生をコントロールすることが知られている.この3要素+1要素を総合的に組み合わせることにより,細胞の分化コントロールおよび組織再生が達成されると考えられており,これら3要素+1要素について概説する.
第14回
日時: 2014年9月26日(金)
場所:
講師: 神谷和作 氏 (順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学講座 准教授)
司会: 小池卓二 准教授
題目: 遺伝子と神経疾患・聴覚障害の分子メカニズム
概要: 神経系では電気信号の伝達により脳(中枢)と感覚器等末梢の間で様々な情報シグナルの発生・伝達を行っている.多くの神経シグナルはイオンの移動を電気信号に変換することにより電位の発生と伝達を制御するが,そのためには細胞の内外や隣り合う細胞間でのイオンの移動を制御する様々なチャネル分子が重要な役割を担っている.そのため多くの遺伝的神経疾患,感覚器疾患ではチャネル遺伝子の変異が原因となっている.中枢神経(脳)疾患では特に遺伝性てんかんの原因の多くにチャネル遺伝子やその制御因子の変異が同定されており,てんかん≒チャネロパチー(チャネル病)という考え方もある.一方で末梢神経系・感覚器の聴覚神経系においてもイオンチャネル遺伝子の変異で発症する遺伝性疾患が多い.中でも内耳のイオン輸送ネットワークを形成するギャップ結合チャネルの構成因子,コネキシン26遺伝子の変異は遺伝性難聴の世界最大の原因となっている.本セミナーでは神経系疾患とチャネル遺伝子について,これまでと最近の知見を解説する.
第13回
日時: 2014年7月25日(金)
場所:
講師: 松本有央 氏 (産業技術総合研究所・ヒューマンライフテクノロジー研究部門 主任研究員)
司会: 宮脇陽一 特任准教授
題目: サル下側頭葉における階層的なカテゴリー分類
概要: 人間の顔を認知する機能は,社会生活を送る上で重要である.顔認知の脳内情報処理機構を解明するためには,顔画像に操作を加えた画像を呈示する手法が有効であると考えられる.例えば,顔を倒立させた画像を呈示すると,正立画像に比べて個体や表情の認知能力が低下することが知られている(倒立効果).本研究では,顔の倒立効果が下側頭葉における階層的なカテゴリー分類に影響をあたえるかを調べた.そのために,2頭のアカゲザルの下側頭葉から119個のニューロンの活動を記録した.50msの時間窓内の個々のニューロンの平均活動を要素とする119次元のベクトルを呈示した画像毎に作成し,クラスタリングを適用した.その結果,画像呈示後[115, 165]msの時間窓で,ヒトとサルと図形の3つのクラスターが最も離れた.正立画像に対して,ヒトの個体とサルの表情を表すクラスターが[140, 190]msの時間窓で最も離れた.倒立画像に対しては,ヒトの個体とサルの表情のクラスターの分離度が低かった.この結果は,下側頭葉のニューロン活動で観察された倒立画像に対する詳細な分類のクラスターの分離度の低下がヒトの心理実験で観察される倒立効果を起こす可能性を示唆している.
第12回
日時: 2014年6月27日(金)
場所: 東3号館306会議室
講師: 瀧田正寿 氏 (産業技術総合研究所・ヒューマンライフテクノロジー研究部門 主任研究員)
司会: 下条 誠 教授
題目: 高次脳機能の仕組みを考える-前頭前野の生物学的構造から-
概要: 高次脳機能を発揮する前頭前野は,解剖学的に感覚器からも運動器からも最も遠いという特徴がある.その神経回路は,他領域から広く感覚由来情報を集約し,前頭前野で細胞レベルの情報処理を介し,他領域へ運動関係情報を配分し,認知行動を形成する.前者の1つ,海馬-前頭前野路は,ラットの作業記憶に必須,また,増強/抑圧の双方向性シナプス可塑性を呈する.電気生理的解析から,本経路は海馬の中間/腹側を起始とする2つのサブルートを有し,前頭前野が互いを集約する(cf. Takita, Fujiwara & Izaki 2013).この集約構造を主題として,ラットやヒトの前頭前野が高次脳機能を発揮する仕組みを考察し発表する.
第11回
日時: 2014年5月30日(金)15:00-16:30
場所: 東3号館306会議室
講師: 中村 整 氏 (先進理工学専攻 教授)
司会: 丹羽治樹 特任教授
題目: 化学感覚の情報変換および関連神経機構
概要: 嗅覚と味覚が,それぞれ空中と水中に浮遊する化学物質が感覚神経に吸着することによって始まることが明らかになったのはまだそんなに古い話ではない.演者もその研究史の早い部分で貢献することができたが,今日嗅細胞や味細胞の情報変換機構は一通りの決着を見ている.現在我々の研究室では,それらの感覚受容細胞の内部だけではなく,組織中の嗅細胞や味細胞が全体の中でどのように機能しているかを明らかにすることを目的として研究をおこなっている.セミナーでは先述の歴史的流れを簡単にご紹介した後,現在の取り組みについてご紹介したい.
第10回
日時: 2014年4月25日(金)13:00-14:30
場所: 東3-306号室
講師: 正本和人 氏 (知能機械工学専攻 准教授)
司会: 山田幸生 特任教授
題目: 光と脳血流~可視化から操作に向けて~
概要: 正常な脳の血液循環は,脳が正しく機能するための生命線である.とりわけ,神経細胞近傍の微細な血液循環を正常に保つことが,脳卒中や認知症の予防において重要である.レーザー顕微鏡を例とした光技術の進歩に加え,多彩な蛍光タンパクの応用によって,脳の微小循環と細胞活性を高い時間空間分解能で可視化する事が可能になった.また,光によって細胞活性を人為的に操作する光遺伝学の技術は,細胞間に働く因果関係を明らかにする研究手法である.本研究セミナーでは,レーザー顕微鏡を用いたげっ歯類の脳血流に関する光イメージング研究と,さらに脳血流の操作による研究展開に関して概説する.
第9回
日時: 2014年2月24日(月)13:00~14:30
場所: 東4号館802室
講師: 惣谷和広 氏 (独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター 大脳皮質回路可塑性研究チーム・専門職研究員)
司会: 田中 繁 特任教授
題目: 抑制回路を介したコリン作動性ニューロンによる覚醒脳の動作制御機構
概要: 大脳皮質神経回路網におけるGABAニューロンの機能は,単に神経回路網の活動レベルを抑制するだけではなく,興奮性ニューロンの特徴選択的な情報処理や生後発達初期の感受性期における神経回路網の成熟に重要な役割を果たすことが想定されている.しかし,GABAニューロンが3次元空間の神経回路網内にどのように分布し,その作用はどの程度の広がりを持つか?そもそも大脳皮質情報処理機構における抑制の役割は定量的に直接的に何なのか?大脳皮質神経回路網動作原理における抑制系回路の機能に関する重要な問題は,未だ解明されていない. そこで我々は,「in vivo二光子励起機能的Ca2+イメージング法」とチャネルロドプシンを用いた光による神経細胞刺激法を駆使し,神経回路網の「構造と機能」という視点からGABAニューロンの機能解析を行い,抑制系による大脳皮質神経回路網の動作制御機構の解明を目指してきた. 大脳皮質神経回路網の動作制御機構を理解する上で,覚醒脳からの神経活動を細胞レベルで計測し解析することは重要である.そこで今回は,げっ歯類における大脳皮質初期視覚野の興奮性ニューロンとGABAニューロンの視覚応答反応を麻酔時と覚醒時で計測し解析を行った. その結果,GABAニューロンの視覚応答性が,麻酔時よりも増大し,視覚刺激に応答する信頼度も増強した.それに対し,興奮性ニューロンは,麻酔時と覚醒時で視覚応答性に変化はなかったものの,視覚刺激に対して視覚応答している時間の長さが短縮された. 次にこれらの反応特性の違いに前脳基底部(Basal Forebrain: BF)からのコリン作動性ニューロンの活動が関わっているのかどうかを検討するため,BFを電気刺激またはチャネルロドプシン刺激を行うことによって,麻酔下で興奮性ニューロンとGABAニューロンの視覚応答に対するBF刺激の効果を解析した.またさらにBF刺激の効果がどのレセプターを介しているのかを調べるため,急性スライスによる薬理学的実験を行った. その結果,脳の覚醒効果は,BFのコリン作動性ニューロンの活動が,大脳皮質初期視覚野1層ではニコチンレセプターを介して,また,2/3層ではニコチン/ムスカリンレセプターを介して,直接的にGABAニューロンの活動に作用することによって,興奮性ニューロンの視覚応答特性を修飾するという,抑制回路が介在する新しい脳神経回路網動作制御機構の一端が明らかとなった. 今回の発表は,我々が用いている「in vivo二光子励起機能的Ca2+イメージング法」やチャネルロドプシン神経細胞刺激法といった光を用いた新しい生理学的な手法の紹介をし,実際にこれらの手法を用いて明らかとなった覚醒脳の神経回路網動作制御機構を「ニューロモジュレーター回路-抑制回路-興奮性ニューロン」といった回路網レベルの視点から報告する予定である.
第8回
日時: 2014年1月17日(金) 13:00~14:30
場所: 東4号館802室
講師: 臼井 正樹 氏(神奈川県立保健福祉大学 教授)
司会: 横井浩史 教授
題目: 介護福祉の目指すこと―韓国の介護問題を通して考える―
概要: 介護福祉の目指すことについて,以下のような観点から講演を行います. ・韓国を定期的に訪問して考えたこと ・「介護福祉」の現在地は何処か ・レイニンガー(Leininger)の看護論「文化ケアの多様性と普遍性」 ・日本と韓国の高齢者介護の現状 ・介護福祉に求められるものは何か ・介護福祉に対する期待
第7回
日時: 2013年12月20日(金) 13:00~
場所: 東4号館802室
講師: 姜 銀来 氏(高知工科大学 総合研究所 特任講師)
司会: 横井 浩史 教授
題目: 超高齢社会における健康づくり ―認知機能と歩行機能に着目して―
概要: 高齢社会の問題は,決して年齢の問題ではなく,如何に健康づくりを実現することが重要な課題です.そのため,脳・身体の発症を早期発見し,速やかに発症を止め,更に機能を回復するのが,高齢社会の問題解決の切口だと考え,講演者は高齢社会における健康づくりを大目的として,認知機能と歩行機能に着目して研究してきました.本講演では,講演者は下記の研究課題について,報告します. (1)視覚補間能力の定量化と脳の健康検査への応用 (2)歩行訓練機を用いた自主訓練における要訓練者の意図同定法 (3)歩行能力の回復の定量評価法 (4)仮想歩行による大脳運動野の活性化法 また,今後取り組んでいく研究課題についても紹介します.
第6回
日時: 2014年12月7日(土) 13:00~14:00
場所: 総合研究棟3階
講師: 征矢 英昭 氏(筑波大学 教授)
司会:
題目: 脳フィットネスと運動(第159回日本体力医学会関東地方会 特別講演)
概要:
第5回
日時: 2013年11月29日(金) 14:00~15:00
場所: 東4号館802室
講師: 佐藤 好幸 氏(情報メディアシステム学専攻 人間情報学講座 助教)
司会: 阪口 豊 教授
題目: ヒトの知覚運動機能のベイズモデル
概要: 我々は外界を知覚しそこに働きかけることで日々を生きている.しかしそこには様々な不確実性が存在する.周囲の環境は時々刻々変化していくし,ほとんどの場合全体の一部分の情報しか得る事しかできない.このような状況で我々はどのように知覚や運動を行っているのだろうか? これに対する一つの考え方として,知覚や運動などをベイズ推定によりモデル化し理解しようとする研究が近年盛んに行われている.ここでは,このようなヒトのベイズモデルについての研究の紹介を自身の研究成果の紹介も交えて行う.
第4回
日時: 2013年10月25日(金) 13:30~14:30
場所: 東4号館802室
講師: 森下 壮一郎 氏(脳科学ライフサポート研究センター 特任助教)
司会: 横井 浩史 教授
題目: ブレイン-マシン インタフェースの思想と設計
概要: 脳活動計測および情報処理技術の発達に伴って,ブレイン-マシン インタフェース (BMI: Brain Machine Interface) の研究開発が盛んになっています.しかし操作者の意図を推定してロボット技術でそれを実現するものと考えると,実は工学的にはBMIよりも安直な方法が種々存在します.本セミナーでは上腕ロボット義手を制御するBMIの開発事例の紹介を交えながら,真に実用的なBMIを実現するための思想と設計について議論したいと思います.
第3回
日時: 2013年9月12日(木) 13:30~14:30
場所: 東4号館802室
講師: 星 詳子 氏(東京都医学総合研究所 ヒト統合脳機能プロジェクト プロジェクトリーダー)
司会: 山田 幸生 特任教授
題目: 感情の神経機構と光脳機能イメージング
概要: 現在,(1) NIRS, fMRI, MEGを用いたヒトの感情生成・制御メカニズムの解明と (2) バイオメディカル光イメージングにおける数理モデルと画像再構成という二つの異なるプロジェクトを同時進行させている. 前者では,感情をBMIのように脳活動信号から翻訳するシステム “マインド/ブレイン-ヒューマン・インターフェース” の開発と “メンタルヘルス不全” の治療法提案につなげることを目指しており,後者では,近赤外光を用いる最も高度な生体イメージング法である “拡散光トモグラフィ” の開発を目的としている.本セミナーでは,これらの研究の現状と今後の展望について述べる.
第2回
日時: 2013年8月29日(木) 13:30~14:30
場所: 東3号館301室
講師: 橋本 卓弥 氏(知能機械工学専攻 助教)
司会: 小池 卓二 教授
題目: 人の生活を支援するロボット技術
概要: 人との共存を目的に,人との感性的なコミュニケーションの実現を目指して開発したアンドロイド・ロボットについて,その表情表出のメカニズムや応用事例についてご紹介します.また,これまで関ってきたライフサポートに関する研究として,着用により人の力を補助することができるマッスルスーツについても紹介します.いずれの研究も,簡単な実演を交えながらの紹介を計画しています.
第1回
日時: 2013年7月18日(木) 13:30~14:30
場所: 東4号館802室
講師: 宮脇 陽一 氏(先端領域教育研究センター 准教授)
司会:
題目: ヒト脳内における感覚知覚情報の神経表現
概要: