体験型授業
第5回 6月13日(金)
モーションキャプチャによる身体運動計測(1)
実施場所:武道館2F演習室
レポーター:横井浩史
本日の講師は、岡田先生、栗田さん。運営委員からは、丹羽先生、田中繁先生、姜先生にご参加いただきました。 内容は、身体運動の三次元計測法に関する基礎知識の獲得と、モーションキャプチャシステムを用いた体験実験です。基礎知識の部分の講義では、質点と剛体の運動に関する座標空間表現と空間移動(変換)に関して、DLT(Direct Linear Transformation)を用いて、ビデオ画像を用いて計測点群の空間位置を導出する方法について、すっきりとした分かりやすい解説が行われました。カメラ画像上のマーカ位置を実空間位置に変換するためには、DLTパラメータを導出する必要があり、既知の標点距離を有するワンドとゼロ点及びベース面を定義するためにグラウンドプレーンを用いたキャリブレーションによって、DLTパラメータを導出する方法について解説が行われました。
次に、計測に関する精度についてサンプリング定理についての解説、および、信号とノイズの分離法として、バターワースデジタルフィルターが紹介されました。バターワースデジタルフィルターについては、ノイズが高次の周波数特性を有する場合には、その微分値が大きくなるため、例えば、身体運動に白色ノイズなどが混入した状態で速度や加速度を微分操作で求める場合に、白色ノイズを非常に大きく拡大してしまい、身体運動の信号が白色ノイズに埋もれて見えなくなってしまう問題として現れること。この問題を解決するために、高次項を適当にフィルタリングする手法として、バターワースデジタルフィルターが有効であることが示されました。
この後、モーションキャプチャシステムを用いた体験実験が行われ、4人のモニターを男女2チームに分け、キャリブレーションの精度を競いました。キャリブレーションは、10台のカメラに対して、ワンドがうまく映るように繰り返し動かし、計測対象となる領域をうまく掃引できた方のチームがより良い計測精度が得られるというものです。もちろん、事前の露出設定や計測周波数、ノイズや孤立点のカットオフの閾値設定など、これらのシステムパラメータもうまく設定する必要があります。両チームとも、PCの前に座り、栗田さんの指導を受けながら、慎重にシステムパラメータの設定を行った後、念入りにワンドを振って、全領域をカバーするように計測点を準備しましたが、最終的な結果としては、女性チームの勝利となりました。