体験型授業
第9回 7月10日(木)
聴性脳幹反応の計測(1)
実施場所:東3号館701号室、東4号館129号室
レポーター:横井浩史
今回は、「聴性脳幹反応の計測」と題して、耳の構造と鼓膜から聴覚までの信号伝達の機序について学びました。
701bで行われた講義では、耳の構造、鼓膜及びツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の機械的性質、蝸牛から大脳皮質に至るまでの神経の構造と機能、神経活動の計測方法の順で詳しく教えていただきました。
耳の構造は、外耳、中耳、内耳の3つの器官に分類され、それぞれ、外耳は音を鼓膜まで導く機能、中耳は音を機械的振動に変換し蝸牛を振動させる機能、内耳は蝸牛の振動を神経信号に変換する機能を有していること。蝸牛の項目では、仕切り板の上に並んだ外有毛細胞が興味深い働きを行うことや、振動に同期して細胞がダンスを踊ること、これらの機能により、特定の振動の拡縮を能動的に行うことなど、驚きの機能について学びました。
次に、蝸牛‐橋・延髄‐中脳‐視床‐大脳皮質に至る神経支配、およびその膜電位変化の機序について学び、その特性を生かして、聴性脳幹反応(Auditory Brainstem Responce:ABR)の計測方法について習得しました。耳は眠らない器官と呼ばれ、睡眠時においても刺激に誘発されて生じる脳活動電位(事象関連電位:Evoked Potential)を計測することが可能であるため、新生児の聴覚調査にも利用できるほど客観性の高い計測方法とのことです。
ABR計測は、頭皮脳波の計測によって実現され、下記のI~VIIの7つの特徴的な波形を計測することにより、聴覚機能の診断が可能であることが示されました。
I :蝸牛核神経
II :蝸牛核神経‐延髄
III:上オリーブ核‐橋
IV :外側横毛体‐橋
V :中脳
VI :視床‐内側膝状態
VII:聴放線‐視床皮質
頭皮脳波計測は、差動増幅と多重加算演算によって実現されましたので、電極のつけ方によってその性能が大きく左右されます。実験の成否は、電極の接触抵抗の大小やバランスが重要とのこと、モニター学生への課題としては、この理由はなぜかが出題されました。