体験型授業
この教育プログラムは、心豊かな社会の実現に向け、医療・福祉現場の技術ニーズに対応できるイノベーティブ人材育成を目的として、本学で実績ある先端的光科学と生体・人間工学の領域連携により、脳科学を踏まえて技術開発を行える新しい専門技術者の養成を大学院レベルで実施することを目指して計画・立案されました。
教育プログラムの実施主体は、脳科学ライフサポート研究センターが担当し、その財政的基盤経費として、平成25年度~平成30年度特別経費「脳科学ライフサポートイノベーションで超高齢社会を支える新しい人材開発プログラム」に採用され、5年間をかけて大学院生のための教育コースプログラムへの体制を整えます。その内容は、本学の特色である光科学に関する先端的基礎研究分野と生体計測・人間工学の応用研究分野が学内横断的に連携することで、生体機能の理解に基づいてQuality of Life(QOL)を向上させるための研究プロジェクトの基盤技術を習得するというものです。
光科学が明らかにしようとするヒトの機能は、知能の基盤であ る脳の可塑性にあります。最近の脳科学の発展により、脳はこれまで考えられていた以上に可塑的な機能を持つことが明らかになってきており、外界の刺激に応じて、脳の再生が強く促されることがわかってきました。時代は、ヒトの脳が持つ可能性を最大限に引き出そうとする科学技術の推進に傾倒し、その性能は、今後、いっそう高度化し、応用範囲は拡大していくことは予想に難くありません。
その一方で、工学的製品設計の立場では、脳の機能を積極的に取り入れて医用福祉機器を製造するようなことは行われてこなかったため、脳の可塑性を理解して技術開発を行う新しいタイプの技術者と研究者を養成することを目指します。
この教育プログラムの中で実施する実習では、次に挙げる3つのグループの基盤技術を実験実習形式で提供し、研究に役立つ専門技術教育を行います。
【運動機能福祉技術開発グループ】
各種運動機能の計測、運動制御モデルによる脳活動への波及効果の検討、運動制御技術の開発研究、及び脳活動のモニタリングに基づいた各種リハビリテーション福祉に関する教育研究の推進。
【光計測基礎技術開発グループ】
生体機能が持つ可塑性、自己回復、再生能力を評価するための新規光プローブの開発基礎研究、及び光を用いたイメージング技術、多次元画像解析に関する教育研究を推進。
【生体脳解析研究グループ】
外界刺激に対する細胞機能の解析研究、及び運動刺激による局所的・全脳的な生体多細胞のイメージング技術の開発及び解析、またBMIを用いた運動制御と脳活動のモニタリングに関する教育研究の推進。
わが国の超高齢化による労働人口の急減に対する対策は既に重要課題となっており、高齢化と共に脳疾患による罹患率は爆発的に上昇しています。脳疾患患者の介護問題は国民の生産性をさらに押し下げ、我々自身のQOLに直接関係する緊急不可避の社会問題です。この現象は、わが国だけに限ったことではなく、20年程度の時間差をもって中国やインドなど隣国でも起こることが予想されているなど、世界的規模で進行する人類共通の課題です。高齢化等に伴う脳疾患の問題は、身体機能の衰えや精神疾患など、人が人らしく生きるための最も基本的な機能を失うことであり、福祉工学テクノロジーに求められる最重要な課題であります。周辺国の高齢化に先駆けて、我が国が高齢化社会を迎えつつある状況を、むしろ技術開発を行う絶好の好機と捉え、これに対応できる高度技術者の人材育成のための教育システムを他国に先んじて準備しておくことは、将来的に生まれる大きな福祉介護市場で我が国の産業が生き残るためにも最重要な施策となるでしょう。
健康で楽しく生活したい。誰しもが望むことです。この教育プログラムを通して、課題に対応できる実践力を持つ若い世代が育つことを期待しています。
体験型講義実施メンバー
センター長 | ||
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下条 誠 | ||
運営委員 | 実験マニュアル 執筆者一覧 | 所属 |
横井 浩史 | 横井浩史 | 情報理工学研究科 知能機械工学専攻 教授 |
小池 卓二 | 小池卓二 | 情報理工学研究科 知能機械工学専攻 教授 |
阪口 豊 | 狩野豊 | 情報理工学研究科 先進理工学専攻 教授 |
狩野 豊 | 岡田英孝 | 情報理工学研究科 知能機械工学専攻 准教授 |
正本 和人 | 宮脇陽一 | 先端領域教育研究センター准教授 |
宮脇 陽一 | 森下壮一郎 | 脳科学ライフサポート研究センター特任助教 |
田中 繁 | 山田幸生 | 脳科学ライフサポート研究センター特任教授 |
三橋 渉 | 丹羽治樹 | 脳科学ライフサポート研究センター特任教授 |
山田 幸生 | ||
丹羽 治樹 |